
相続税はかかる?基礎控除と不動産の評価で見当をつける
相続税はかかる?基礎控除と
家と土地の評価で見当をつける
執筆:東徳不動産商事 編集部
この記事は国税庁・周南市「固定資産に関する証明」などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。
親の実家や土地を相続することになったとき、「家と土地と預金を足したら、相続税がかかるのでは」と心配される方は少なくありません。相続税がかかるかどうかは、遺産の合計と基礎控除を比べれば、税理士に頼む前でもおおよその見当がつきます。この記事では、周南市で不動産の売買や相続した家のご相談を受けている私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、基礎控除の数え方、家と土地をいくらで数えるか、架空の家族での通しの計算例、申告が必要になるケースまでを順に解説します。税額の計算や個別の判断は、税理士や税務署にご確認ください。
![]() | この記事で分かること ✓ 相続税の基礎控除の額と、法定相続人の数え方(人数別の早見表) ✓ 家と土地・預貯金・保険を足し、借金と葬式費用を引く遺産の合計の出し方 ✓ 家と土地を相続税でいくらで数えるかと、売れる値段(時価)との違い ✓ 小規模宅地等の特例で税額が0になっても申告が必要なケース |
結論:家と土地を含む遺産の合計が基礎控除以下なら相続税はかからない
相続税がかかるのは、家と土地を相続税の評価額で数え、預貯金や生命保険金などを足し、借金と葬式費用を引いた遺産の合計が、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるときだけです。相続人が子2人なら線は4,200万円で、これ以下なら申告も納税も要りません。超えそうなときは、税額の計算と申告を税理士に相談しましょう。
見当をつける順番は3つです。まず相続人の数から基礎控除の線を出し、次に家と土地をいくらで数えるかを固定資産税の課税明細書などで調べ、最後に預貯金や保険、借金を足し引きして線と比べます。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 家と土地は、売れる値段ではなく相続税の評価額で数えます。まずは毎年届く固定資産税の課税明細書を手元に用意しましょう。 |
基礎控除はいくら?法定相続人の数え方と人数別の早見表
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で決まり、法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円、4人なら5,400万円です。相続人が1人増えるごとに線が600万円上がるため、人数を数え違えると見当がずれます。数え方には、相続放棄と養子の2つの決まりがあります。
法定相続人が1〜4人のときの基礎控除の早見表
法定相続人は民法で決まっています。亡くなった人の配偶者は常に相続人になり、ほかに子、子がいなければ父母などの直系尊属、それもいなければ兄弟姉妹の順で、配偶者と一緒に相続人になります。たとえば父が亡くなり、母と子2人が残れば法定相続人は3人で、線は4,800万円です。

図1 基礎控除は相続人1人につき600万円ずつ上がる
相続放棄した人・養子がいるときの数え方
家庭裁判所で相続放棄をした人がいても、基礎控除の人数からは外しません。相続放棄した人も放棄が無かったものとして数えます。養子は、亡くなった人に実の子がいれば1人まで、実の子がいなければ2人までしか人数に入りません。生命保険金の非課税枠も、同じ数え方の人数で計算します。
遺産の合計はどう出す?家と土地・預貯金・保険を足して借金を引く手順
遺産の合計は、家と土地の相続税の評価額、預貯金、生命保険金のうち非課税枠を超える分、亡くなる前の一定期間の贈与を足し、借金と葬式費用を引いて出します。国税庁はこの額を正味の遺産額と呼び、これが基礎控除を超えると相続税がかかります。足すものと引くものを紙に順に書き出すと、見落としや二重の計算を防げます。

イメージ:家と土地の評価を確かめて遺産の合計を出す様子(実際の物件・書類ではありません)
足すもの:家と土地・預貯金・生命保険金(非課税枠を超える分)・亡くなる前の贈与
相続税がかかる財産は、土地や家屋、現金、預貯金のほか、有価証券や貸付金など、お金に見積もれるものすべてです。亡くなった人が保険料を負担していた死亡保険金も対象ですが、相続人が受け取った分は「500万円×法定相続人の数」まで非課税で、超えた分だけを足します。
亡くなる前に、亡くなった人から受けた贈与も足します。亡くなった日が2026年12月31日までなら3年以内の贈与が対象で、2027年1月1日以後に亡くなった場合は2024年1月1日以後の贈与へと広がり、最終的には7年以内になります。年110万円以下で贈与税がかからなかった贈与も足す点に注意しましょう。
引くもの:借金(債務)と葬式費用
亡くなった時にあった借入金や未払いの医療費などの債務は、遺産から差し引けます。葬式費用は債務ではありませんが、通夜や火葬、お寺へのお礼などは差し引けます。一方、香典返しの費用は差し引けません。支払いの領収書は、相続の手続きが終わるまで捨てずにまとめておきましょう。
架空の子2人の家族で通して計算する例
ここでは説明のための架空の例として、周南市の住宅地に家と土地を持つ父が亡くなり、相続人は子2人(母は先に他界)とします。基礎控除は4,200万円です。家と土地、預貯金と保険、引くものの順に計算します。

図2 説明のための架空の例(金額は実在の家族のものではありません)
家と土地で1,300万円(建物300万円+土地1,000万円)、預貯金2,500万円と保険の課税分200万円(1,200万円−非課税枠1,000万円)で2,700万円、合わせて4,000万円から葬式費用150万円と未払いの医療費50万円の200万円を引くと、遺産の合計は3,800万円です。基礎控除の4,200万円を下回るため、この家族は相続税の申告も納税も要りません。もし預貯金が3,000万円なら合計は4,300万円になり、線を超えます。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|ここが大事 線の近くにいる家族ほど、家と土地をいくらで数えるかで結果が変わります。概算で線に近いと分かったら、早めに税理士に相談しましょう。 |
家と土地はいくらで数える?路線価・倍率方式と固定資産税評価額の見当
相続税では、建物は固定資産税評価額のまま数え、土地は路線価のある地域なら路線価に面積をかけ、無い地域なら固定資産税評価額に国税庁の評価倍率をかけて数えます。どれも売れる値段(時価)とは別の物差しです。ここでは見当をつける要点だけを説明し、補正率などの詳しい調べ方は別の記事に任せます。建物と土地で、確かめる書類が違う点に注意しましょう。
建物は固定資産税の課税明細書で分かる
建物の相続税の評価額は、固定資産税評価額に1.0をかけた額、つまり固定資産税評価額と同じです。この額は、毎年市から届く固定資産税の納税通知書の課税明細書か、固定資産評価証明書で確かめられます。周南市では、評価証明書は本庁の課税課と各総合支所・支所の窓口で取れます。
土地は路線価図か評価倍率表で見当をつける
土地は、国税庁のホームページの路線価図・評価倍率表で、まず路線価のある地域か倍率の地域かを確かめます。路線価は道路に面した標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額で、千円単位で載っています。見当なら路線価に面積をかけ、実際の評価では土地の形などに応じて補正します。倍率の地域なら、土地の固定資産税評価額に表の倍率をかけます。
周南市では、徳山や新南陽の住宅地で昭和の時代に買われた土地や、祖父母の代から受け継いだ宅地の相続のご相談が多くあります。買った時の値段が分かっていても、相続税で使うのは亡くなった年の路線価や評価倍率です。

図3 相続税の評価額と売れる値段は別の物差し
相続税の評価額と売れる値段(時価)は別
路線価は、地価公示価格(国が毎年公表する土地の値段の目安)などをもとにした価格の80%程度を目安に決められています。そのため、相続税の評価額と実際に売れる値段は同じになりません。駅に近く買い手の多い土地は評価額より高く売れることがあり、古い家が残る郊外の土地は評価額ほどで売れないこともあります。相続した家を売るか持つかを考えるときは、売れる値段の目安を別に確かめておきましょう。
| 東徳によくあるご相談 親の実家と土地を相続することになり、家と土地をいくらで数えればよいか分からないというご相談があります。課税明細書などの手元の書類を一緒に確認し、足りない書類の取り方や準備の順番、売れる値段の目安をお伝えしています。相続税の計算と申告は、提携する税理士をご紹介できます(ご紹介は無料)。 ▶ お問い合わせフォームはこちら |
実家の土地は安くなる?小規模宅地等の特例と申告が必要なケース
亡くなった人が住んでいた家の土地は、配偶者や同居していた親族などが相続すると、330平方メートルまでの部分の評価額を80%減らせる小規模宅地等の特例があります。ただし、この特例や配偶者の税額軽減(配偶者が相続した分は一定額まで相続税がかからない制度)を使って税額が0になっても申告は必要です。申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
小規模宅地等の特例の要点(要件の細部は税理士へ)
この特例で80%減らせるのは、亡くなった人の住まいの土地のうち330平方メートルまでの部分です。配偶者が相続するなら住み続けるなどの要件はありませんが、同居していた子などは申告期限まで住み続け、土地を持ち続けることが要件です。別居の子が使えるのは、亡くなった人に配偶者も同居の相続人もいないなど、限られた場合です。
先ほどの例で預貯金が3,000万円だった場合、要件に当てはまれば1,000万円の土地は200万円で数えられ、遺産の合計は3,500万円になります。基礎控除の4,200万円を下回って税額は0になりますが、特例を使うために申告が必要です。
申告が要らないケースと要るケース
申告が要らないのは、特例を使う前の遺産の合計が基礎控除以下の場合です。国税庁は、申告が要るかどうかを小規模宅地等の特例を使わない額で判断すると案内しています。配偶者の税額軽減も、配偶者が取得した遺産が1億6千万円か法定相続分(民法で決まっている相続人ごとの取り分)までなら税がかからない制度ですが、申告書に明細を書いて受けるものです。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 税額が0なら何もしなくてよい、とは限りません。特例を使って0になる家族は、申告をして初めて0になります。 |
申告期限は10か月、遺産分割を間に合わせる
相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、通常は亡くなった日の翌日から数えます。例えば1月6日に亡くなったら、その年の11月6日が期限です。小規模宅地等の特例も配偶者の税額軽減も、原則として期限までに遺産分割がまとまっていることが前提のため、分け方の話し合いは早めに始めましょう。
超えそうなときは誰に相談する?税理士と不動産会社の役割と準備する書類
見当で基礎控除を超えそうなときや線の近くのときは、税額の計算と申告は税理士に頼み、家と土地を売るか持つか、売れる値段の目安は不動産会社に聞くと役割を分けて進められます。自分で確かめたい場合は、国税庁の相続税の申告要否判定コーナーで財産の金額などを入れ、申告が要るかどうかのおおよその判定をすることもできます。
自分で見当をつける場合と税理士に頼む場合の違い
遺産の合計が基礎控除を大きく下回る家族なら、この記事の手順と申告要否判定コーナーで見当をつければ足りることが多いでしょう。一方、線に近い、小規模宅地等の特例を使いたい、土地が広い・形がいびつ、家や土地を人に貸している、といった場合は評価が難しく、税理士に頼むほうが安心です。報酬は財産の額や内容で変わるため、頼む前に見積もりを確かめましょう。
相談の前にそろえる書類(課税明細書・預金の残高・保険の証書など)

イメージ:相談の前に書類をそろえる様子(実際の物件・書類ではありません)
① 固定資産税の課税明細書、または固定資産評価証明書(家と土地ごと)
② 登記事項証明書(土地と建物の名義と面積が分かるもの)
③ 預貯金の通帳や残高証明書
④ 生命保険の証書や支払いの通知書(受取人と金額が分かるもの)
⑤ 借入金の残高が分かる書類と、葬式費用の領収書
⑥ 亡くなる前に受けた贈与のメモ(いつ・誰に・いくら)
⑦ 戸籍謄本など、相続人の数が分かる書類
東徳不動産商事とグループ会社にはファイナンシャルプランナーが在籍し、連携して対応します。家と土地の売れる値段の目安は、無料の査定で書面にしてお渡しします。
よくある質問
相続税の基礎控除の3,000万円と、空き家を売るときの3,000万円特別控除は同じですか?
別の制度です。基礎控除は、相続税の計算で遺産の合計から引く「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の額です。空き家の3,000万円特別控除は、相続した古い家やその敷地を一定の要件で売ったときに、売却の利益から3,000万円まで引ける所得税の特例で、2027年12月31日までの売却が対象です。相続人が3人以上なら2,000万円までになります。
相続税がかかる人はどのくらいいますか?
国税庁の発表では、令和6年分は亡くなった方1,605,378人のうち、相続税の申告書の提出に係る方(税額のある方)は166,730人で、およそ10人に1人でした。これは全国の数字です。ご自身の家族がかかるかどうかは、この記事の手順で見当をつけてください。
相続税を払った家を売ると、税金の負担が軽くなる特例はありますか?
あります。相続税を払った人が、相続した家や土地を相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合、払った相続税のうち一定額を取得費(その家や土地を買った時の値段などの費用)に足して、売ったときの所得税などを軽くできる特例があります。空き家の3,000万円特別控除とは一緒に使えないため、どちらが有利かを売る前に税理士にご確認ください。
相続税がかからなくても、相続登記や不動産取得税はどうなりますか?
相続登記は、相続税がかかるかどうかに関係なく、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(刑罰の罰金とは別の、行政上の金銭の罰)の対象になることがあります。一方、相続で受け取った家や土地に不動産取得税はかかりません。
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![]() | ご相談は東徳へ 相続する家と土地のご相談は、地元70年の東徳不動産商事へ 相続税がかかるかの見当は、家と土地の書類をそろえることから始まります。手元の書類を一緒に確認し、相続税の計算と申告は提携する税理士をご紹介できます(ご紹介は無料)。売るか持つか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。 トウト君のひとこと|固定資産税の課税明細書が1枚あるだけでも、家と土地をいくらで数えるかの話がぐっと進みます。ご相談のときにお持ちください。 |
▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)
参考資料
・国税庁 タックスアンサー No.4102「相続税がかかる場合」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4152「相続税の計算」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4132「相続人の範囲と法定相続分」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4170「相続人の中に養子がいるとき」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4170.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4105「相続税がかかる財産」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4105.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4126「相続財産から控除できる債務」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4129「相続財産から控除できる葬式費用」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4602「土地家屋の評価」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
・国税庁 相続税の申告要否判定コーナー「固定資産税評価額について」:https://www.keisan.nta.go.jp/oshirase/sozoku/yohihantei/koteishisanzei/hyokagaku.html
・周南市「固定資産に関する証明」:https://www.city.shunan.lg.jp/soshiki/12/1118.html
・国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」:https://www.rosenka.nta.go.jp/
・国税庁「令和8年分の路線価等について」:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/rosenka/index.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4124「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
・国税庁 タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
・国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
・国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(令和7年12月):https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf
・国税庁 タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
・法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
・山口県「不動産取得税 Q&A」:https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/soshiki/5/12388.html
