
賃貸の短期解約違約金とは|契約前に確認したいこと
賃貸の短期解約違約金とは
契約前に確かめたい特約の見方
執筆:東徳不動産商事 編集部
この記事は国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」・国土交通省「賃貸住宅標準契約書」などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。
賃貸の部屋を決めるとき、契約書の特約の欄に「短期解約違約金」と書かれていて、どういうお金なのか迷ったことはありませんか。転勤や進学で何年住むか分からない方ほど、早く退去したときにいくらかかるのかは気になるところです。この記事では、周南市で賃貸の仲介と管理を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、短期解約違約金の意味と金額の決まり方、解約予告の家賃や退去費用との違い、契約前に確かめたいこと、払わなくてよい場合と相談先を順に解説します。個別の契約の有効性など判断に迷うときは、弁護士や消費生活センターにもご相談ください。
![]() | この記事で分かること ✓ 短期解約違約金とは何か、なぜ付いている物件があるのか ✓ 金額の決まり方と、共益費や数え始めの日で変わる計算の例 ✓ 違約金・解約予告の家賃・原状回復の退去費用の違い ✓ 契約前に特約の欄で確かめる5つのことと、払わなくてよい場合・相談先 |
結論:短期解約違約金は契約書の特約で決まる。契約前に有無・期間・金額を確かめる
短期解約違約金は、入居から決められた期間より早く借主の都合で解約したときに、家賃とは別に払う約束のお金です。法律で一律に決まっているものではなく、契約書の特約に書かれた場合に生じるお金なので、付いていない物件もあります。契約前に、重要事項説明書と契約書で、特約があるか、何年未満の解約が対象か、金額がいくらかの3点を確かめておきましょう。
国土交通省が公表している賃貸住宅標準契約書(賃貸借契約書のひな形)には、借主は少なくとも30日前に申し入れれば解約できるという条文はありますが、短期解約違約金の条文はありません。ひな形の使用は法令で義務づけられておらず、標準の条文のほかに、個別の事情に応じて当事者が合意したことを特約として加える形になっています。だからこそ、自分が署名する契約書の特約の欄を読むことが出発点になります。
短期解約違約金とは?なぜ付いている物件があるのか
短期解約違約金は、入居から1年未満や2年未満など、決められた期間のうちに借主の都合で解約したときに払う約束のお金です。貸主は、入居者の募集にかけた費用や次の入居者が決まるまでの空室の家賃を、短い入居では取り戻せないことがあります。そのため、敷金・礼金なしやフリーレント(入居後しばらく家賃がかからない契約)など、初期費用を下げた物件ほど、その見返りとして特約を付けることが多いとされます。
民法では、契約で決めた違約金は、損害賠償の額をあらかじめ決めておいたもの(賠償額の予定)と推定されます。実際の損害がいくらだったかを一つずつ計算せずに、決めておいた額で精算するという約束です。ただし、どの物件にも付いているわけではありません。付いているかどうか、どんな条件かは物件ごとに違うので、部屋を比べるときの項目の一つとして見ておきましょう。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 「違約金が付いているかどうか」は、契約書の特約の欄に書かれています。申し込む前に、その欄を一度見ておきましょう。 |
違約金はいくら?期間と金額の決まり方
金額は契約書の特約で決まり、法律で額や相場が決められているわけではありません。一般的には、1年未満の解約は家賃の何か月分、2年未満は何か月分のように、住んだ期間で段階を付ける形がよく見られます。同じ家賃の1か月分でも、共益費を含むか、数え始めが契約開始日か入居日かで払う額が変わることがあるので、数字だけでなく条文の言い方まで確かめましょう。
期間で段階を付ける特約の例
特約には、住んだ期間が短いほど額が大きくなる書き方がよく使われます。下の図は、説明のために当社で作った例です。実際の期間の区切りや金額は物件ごとに違うので、相場の数字として受け取らず、自分の契約書の特約と見比べるときの見本として使ってください。

図1 特約の書き方の例(説明のための例です。実際の期間と金額は契約書の特約で確かめてください)
計算の例:家賃の何か月分か・共益費を含むか・いつから数えるか
家賃6万円、共益費3,000円の部屋に、図1の例の特約が付いていたとします。入居から10か月で解約すると1年未満に当たり、違約金は家賃の2か月分で12万円です。特約に共益費を含むと書かれていれば、6万3,000円の2か月分で12万6,000円になります。1年2か月で解約したなら2年未満に当たり、家賃の1か月分の6万円です。
期間を数え始める日は、契約開始日とする書き方のほか、鍵を受け取った入居日とする契約もあります。また、ちょうど1年で解約したときに1年未満に入るかどうかは、条文の書き方で変わることがあります。境目の近くで退去しそうなときは、どの日から数えて、どの日まで住めば対象から外れるのかを、管理会社に日付で確かめておくと安心です。
違約金・解約予告の家賃・退去費用の違いは?早く退去するときにかかるお金
早く退去するときのお金は、3つに分けて考えると整理しやすくなります。短期解約違約金は、特約で決めた早い解約の約束のお金です。解約予告の家賃は、解約を申し入れてから退去するまでが契約書の予告期間に足りないときに払う家賃です。退去費用は、借主の不注意などで傷めた所を直す原状回復の費用です。根拠も決まり方も違い、重ねてかかることがあります。
3つのお金の違いを表で比べる

図2 早く退去するときのお金の違い(重ねてかかることがあります)
解約予告の家賃は、国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、少なくとも30日前に申し入れるか、申入れの日から30日分の家賃を払えば、その間のいつでも解約できる形になっています。実際の予告期間は契約書で決まり、1か月前のほか2か月前とする契約もあります。退去の連絡の期限と解約通知の出し方は退去連絡の記事で、退去する月の家賃が日割りになるかは契約書の家賃の条項で確かめましょう。
原状回復の退去費用は、違約金とは別のお金です。国土交通省のガイドラインは、原状回復を借主の故意・過失や通常の使い方を超える使い方で傷めた所を直すことと定め、年数による古さや普通に暮らして生じた傷みの修繕費は家賃に含まれるとしています。東徳不動産商事に寄せられるご相談でも、退去のときの原状回復の費用で貸主と借主の考えが分かれることがあります。退去のときはお金の話がまとめて出てくるので、明細を3つに分けて見ると、何に払うのかが分かりやすくなります。くわしくは退去費用を抑える方法の記事をご覧ください。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|ここが大事 明細に分からない項目があれば、その場で管理会社に「何の費用か」「どの条項によるものか」を聞いて確かめましょう。 |
契約前に確認したいことは?契約書と重要事項説明書の見方
契約前に、重要事項説明書と契約書の特約の欄で、違約金があるか、対象の期間と数え始めの日、金額が家賃の何か月分で共益費を含むか、解約予告の期間、敷金との精算の仕方の5つを確かめます。宅地建物取引業法では、違約金に関する事項は、契約が成立する前に宅地建物取引士が書面で説明する事項です。分からない言い方は、説明のときにその場で聞きましょう。
特約の欄で見る5つのこと
① 短期解約違約金の特約があるか
② 対象になる期間(1年未満・2年未満など)と、数え始めの日(契約開始日か入居日か)
③ 金額が家賃の何か月分か、共益費を含むか
④ 解約予告の期間(1か月前・2か月前など)と申し入れの方法
⑤ 違約金や未払いのお金を敷金から差し引いて精算するか
標準契約書の解説は、特約を定めるときは、借主がその内容をはっきり理解し、契約の内容とすることに明確に合意していることが必要だとしています。説明を受けて納得できない特約があれば、署名する前に質問し、ほかの物件と比べてから決めても遅くはありません。

イメージ:契約の前に書類を読み合わせる様子(実際の物件・書類ではありません)
住む期間が短くなりそうなら、初期費用と違約金を合わせた総額で比べる
転勤の可能性がある方や数年だけ住む予定の方は、初期費用の安さだけで選ばず、早く退去したときの違約金まで含めた総額で比べます。敷金・礼金なしの物件は入居のときの負担が軽い一方、特約の期間内に退去すると違約金がかかることがあります。反対に、初期費用がかかっても特約の無い物件なら、早めに出ても違約金はかかりません。住む期間の見込みが短いほど、この差は大きくなります。
徳山駅の周辺の賃貸は、単身の方や転勤の方が中心です。住む期間が読みにくい方が多い地域だからこそ、契約前に特約を見ておく意味は大きくなります。会社が借りる社宅(法人契約)の場合は、違約金を誰が負担するかを会社の規定でも確かめておきましょう。
| 東徳によくあるご相談 転勤や単身赴任で、何年住むか分からないまま部屋を探している、というご相談がよくあります。住む期間の見込みを最初に伝えていただければ、特約を含めて契約前に条件を確かめながら、合う物件を一緒に探します。周南市のほか、下松市・光市の物件も扱っています。 ▶ 周南市の賃貸物件一覧を見る |
払わなくていい場合や、抑える方法は?相談先も
契約書や重要事項説明書に短期解約違約金の特約が無ければ、一般的に違約金を請求される根拠はありません。また消費者契約法では、違約金のうち、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害を超える部分は無効とされます。ただし、有効かどうかは個別の判断です。すでに契約しているなら、解約日を対象の期間の後にできないかを確かめ、事情は早めに管理会社へ相談しましょう。
消費者契約法は、事業者と消費者の間の契約に当てはまる法律です。事業者は、消費者から求められたときは、違約金の算定の根拠の概要を説明するよう努めることとされています。額の理由が分からないときは、まず管理会社に根拠を聞いてみるのも一つの方法です。
解約日を対象の期間の後にずらせないか確かめる
違約金がかかる期間の終わりが近いなら、退去日を少し後ろにずらすと違約金がかからなくなることがあります。たとえば、あと半月で1年を過ぎるなら、その半月分の家賃と違約金の額を比べてみます。予告期間も合わせて考える必要があるので、対象の期間の終わりの日から逆算して、いつ解約を申し入れるかを決めましょう。新居の家賃と重なる期間も含めて比べると判断しやすくなります。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|段取りのコツ 違約金がかかる期間の終わりの日と、解約予告の期限をカレンダーに書き込んでおくと、退去日を比べやすくなります。 |
転勤などの事情は早めに管理会社へ相談する
違約金を外すか減らすかは、契約の当事者である貸主が決めることで、借主の側から一方的に変えることはできません。それでも、転勤などで退去が決まったら、早めに管理会社へ事情を伝えましょう。早く伝えるほど次の入居者を募集する時間ができ、貸主も対応を考えやすくなります。どう扱うかは物件や貸主によって違います。
相談先の比較:管理会社・消費生活センター(188)・弁護士
相談先は、話の段階で選びます。契約の内容や額の計算の確認は、まず契約書に書かれた管理会社へ。東徳不動産商事が管理する物件では、入居者の募集と契約から、更新、退去の立会いまで当社が窓口になります。説明に納得できないときは、消費者ホットライン188に電話すると、身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。争いになりそうなときは弁護士に相談します。当社では提携する弁護士をご紹介できます(ご紹介は無料)。当社とグループ会社には賃貸不動産経営管理士(賃貸管理の国家資格)が在籍し、連携して対応します。
よくある質問
違約金は敷金から差し引かれますか?
差し引かれることがあります。標準契約書では、明け渡しのときに家賃の滞納や原状回復の費用の未払いなど、契約から生じる借主の支払いが残っていれば、その額を敷金から差し引き、内訳を借主に示すことになっています。違約金を払う約束が特約にあれば、同じように敷金と精算されることがあるので、精算書で内訳を確かめましょう。
法人契約(社宅)の場合、違約金は誰が払いますか?
社宅は契約者が会社なので、貸主に違約金を払うのは契約者である会社になるのが一般的です。ただし、本人の都合で早く退去したときの費用を本人に負担してもらう規定を設けている会社もあります。入居する前に、勤め先の総務の担当者に社内の規定を確かめておきましょう。
定期借家の契約は途中で解約できますか?
定期借家(期間が来たら更新せずに終わる契約)は、途中で解約できないのが原則です。ただし、床面積200平方メートル未満の住まいで、転勤、療養、親族の介護などのやむを得ない事情で住み続けるのが難しくなったときは、借主から解約を申し入れることができ、申入れの日から1か月で終わります。途中で解約できる特約があれば、その定めも確かめてください。定期借家の仕組みは、普通借家との違いを解説した記事でくわしく紹介しています。
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▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)
参考資料
・国土交通省「『賃貸住宅標準契約書』について」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html
・国土交通省「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型」第11条第1項:https://www.mlit.go.jp/common/001479824.pdf
・民法 第420条第3項(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089
・国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
・宅地建物取引業法 第35条第1項(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/327AC1000000176
・消費者契約法 第9条第1項第1号(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/412AC0000000061
・消費者庁「消費者ホットライン」:https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
・借地借家法 第38条(e-Gov 法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/403AC0000000090
