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親が認知症になったら家は売れる?成年後見と家族信託の違い

不動産売却

親が認知症になったら家は売れる?

成年後見・任意後見・家族信託の違いと選び方

執筆:東徳不動産商事 編集部

この記事はe-Gov法令検索・裁判所「後見開始」などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。

親が介護施設に入ることになり、空いた実家を売って費用にあてたい。そう考えたときに壁になるのが、親の判断能力です。家の名義が親のままなら、売るのは親本人であり、子どもが代わりに売ることはできません。認知症が進んでからでは選べる方法が限られ、時間も費用もかかります。この記事では、周南市で不動産の売買を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、認知症の親の家を売るときの成年後見制度と、親が元気なうちに準備できる任意後見・家族信託の違いをまとめました。具体的な手続きや判断は、司法書士・弁護士や家庭裁判所、市の相談窓口にご確認ください。

トウト君この記事で分かること
✓ 認知症の親の家を、子どもが代わりに売れない理由
✓ 成年後見で売るときの流れと、家庭裁判所の許可
✓ 親が元気なうちに選べる任意後見と家族信託の違い
✓ 施設の入居費用と売却の時期の考え方、周南市の相談窓口

結論:判断能力があるうちなら選択肢は多く、低下した後は成年後見が基本

親の判断能力がしっかりしているうちは、親本人が売る、任意後見契約を結ぶ、家族信託を組むなど、いくつかの方法から選べます。一方、認知症が進んで判断能力が失われた後は、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、その後見人が売るという方法が基本になります。親が元気なうちに家族で話し合っておくことが、いちばんの備えです。

木のテーブルに置いた和風の家の模型と古い鍵、眼鏡、手帳のイメージ写真
イメージ:親の家のこれからを考える(実際の物件・書類ではありません)

子どもが代わりに売れない理由

民法では、意思能力がない状態で結んだ契約は無効とされています(民法3条の2)。不動産の売買契約も同じで、親が内容を理解できない状態で契約しても、後から無効になるおそれがあります。親の委任状を子どもが用意して売る方法も、委任そのものに親の判断能力が必要なため使えません。実際の取引では、登記を担当する司法書士が売主本人と面談して意思を確認するのが一般的で、確認ができなければ手続きは進みません。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|ここが大事
実家を売ることを考え始めたら、親が今、契約の内容を理解できる状態かを家族で確かめましょう。迷うときは、売買の前に司法書士に相談しておくと手続きが止まりにくくなります。

判断能力が低下している場合:成年後見制度

申立てから開始までの流れと期間

成年後見は、本人の住所地の家庭裁判所に申し立てます。周南市・下松市・光市に住む方の場合、管轄は山口家庭裁判所周南支部です。申立てができるのは本人、配偶者、四親等内の親族などで、子どもも申し立てられます。費用は、申立手数料と登記手数料の収入印紙が合わせて3,400円分と郵便料で、本人の状態によって医師の鑑定が必要になると、その費用もかかります。最高裁判所の集計では、令和7年に終わった事件のうち約71%が2か月以内、約94%が4か月以内に終わっています。診断書や財産の資料をそろえる準備期間も見込んでおきましょう。

成年後見で親の家を売るまでの流れの図。申立ては本人の住所地の家庭裁判所へ(周南市・下松市・光市は山口家庭裁判所周南支部)。後見人の選任は令和7年は約94%が4か月以内に終わり、親族以外が選ばれることも多い。買主探しでは売買契約書の写しや査定書など売る必要性を説明する資料をそろえる。家庭裁判所の許可が必要で、許可のない売買は無効。売却までに、入居の時期と売れる時期に数か月以上の差が出ることがある。
図1 成年後見で売るときの主な段階(個別の手続きは家庭裁判所・司法書士・弁護士へ)

自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要

後見人が選ばれても、すぐに自宅を売れるわけではありません。後見人が本人の住まいを売るには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。親が施設に入っていて今は誰も住んでいない実家も、この住まいに含まれます。許可を得ずに売った場合、その売買は無効になります。この許可の申立てでは、売る必要性を説明する資料として、売買契約書の写しや不動産会社の査定書などを出すため、買主や価格の見通しを立ててから申し立てる流れになります。

あらかじめ知っておきたいこと

後見人には、家族ではなく司法書士や弁護士などの専門職が選ばれることも多く、令和7年は約84%が親族以外でした。専門職の後見人には、親の財産から報酬が支払われます。報酬は家庭裁判所が決め、ある家庭裁判所が示す目安では、通常の事務で月額2万円です。この場合、年間で24万円、5年続けば120万円になります。また、現在の制度では、家を売った後も親の判断能力が回復しない限り、後見を途中でやめることはできません。

専門職の後見人の報酬の目安の図。ある家庭裁判所が示す目安では通常の事務で月額2万円、年間で24万円、5年続けば120万円になる。報酬は家庭裁判所が決める。
図2 後見人の報酬の目安(管轄の家庭裁判所の運用によって異なります)

なお、令和8年6月に民法等の改正法が公布され、必要がなくなれば制度の利用を終えられる仕組みに変わります。ただし、成年後見の部分の施行は公布から2年6か月以内に政令で定める日とされ、2026年10月時点では施行日が決まっておらず、現行の制度で手続きが進みます。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|次にすること
施設の入居など急ぐ事情があるなら、法改正を待つより、今の制度で進めるかを先に専門家と話し合っておきましょう。

親が元気なうちに選べる方法

任意後見:将来の後見人を自分で決めておく

任意後見は、判断能力があるうちに、将来の後見人と任せる内容を親自身が決めておく契約です。契約は公証役場で公正証書にする必要があります。判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選ぶと、契約の効力が生じます。信頼できる子どもを後見人に指定できる点が利点です。一方で、効力が生じた後は、家庭裁判所が決める監督人への報酬がかかります。任意後見人が自宅を売るときは、成年後見のような家庭裁判所の許可を得る決まりはありませんが、売れるのは契約で任せた権限の範囲内に限られ、任意後見監督人の監督を受けながら進めます。契約で「自宅の処分は含まない」とする例もよく見られるため(日本公証人連合会の案内による)、将来売る可能性があるなら、契約の段階で公証人に伝えておきましょう。

家族信託:財産の管理と処分を家族に託す

家族信託は、親(委託者)が自宅などの財産を信頼できる子ども(受託者)に託し、その財産から生まれる利益を親(受益者)が受け取る仕組みです。信託の目的に沿っていれば、親の判断能力が低下した後でも、子どもが受託者として家を売り、代金を親の介護費用にあてられます。売却のたびに家庭裁判所の許可を得る必要はありません。ただし、契約を結ぶには親の判断能力が必要で、認知症が進んでからでは組めません。専門家への報酬や登記費用などがかかり、金額は財産の内容や契約の組み方で大きく変わるため、複数の専門家に見積もりを取ると安心です。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|ここが大事
家族信託の契約を結べるのは、親に判断能力があるうちだけです。費用は契約の組み方で変わるので、複数の専門家に見積もりを取って比べましょう。

どの方法を選ぶかの考え方

① 親の判断能力がすでに失われている場合は、成年後見の申立てを検討する

② 親が元気で、自宅を将来売る可能性が高い場合は、家族信託が候補になる

③ 財産の管理だけでなく、介護や施設の契約まで任せたい場合は、任意後見も組み合わせる

④ いずれの方法も、親本人の意向を確認し、兄弟姉妹で情報を共有してから進める

家族信託は財産の管理には向いていますが、介護サービスや施設入居の契約を代わりに結ぶ権限は含まれません。そのため、家族信託と任意後見を併用する例もあります。

成年後見・任意後見・家族信託のちがいの比較表。成年後見は判断能力が低下した後に始め、家庭裁判所が選んだ後見人が売り、自宅を売るときは家庭裁判所の許可が必要で、専門職の後見人の報酬がかかる。任意後見は元気なうちに契約し、親が決めた任意後見人が契約で任せた範囲内で監督を受けながら売り、任意後見監督人の報酬がかかる。家族信託は元気なうちに契約し、受託者の子どもが信託の目的に沿えば許可なしで売れ、専門家への報酬や登記費用がかかる。
図3 成年後見・任意後見・家族信託の主なちがい(家族信託と任意後見を併用する例もあります)

施設の入居費用と、売却の時期

実家を売る理由で多いのが、介護施設の入居費用にあてたいというものです。最高裁判所の集計でも、成年後見の申立ての動機の約36%が不動産の処分でした。成年後見で売る場合、申立て、後見人の選任、買主探し、家庭裁判所の許可と段階を踏むため、入居の時期と売れる時期の間に数か月以上の差が出ることがあります。親が元気なうちに、施設に入る場合の費用と、実家がいくらで売れそうかを確かめておくと、資金計画を立てやすくなります。車社会の周南市では、親が運転をやめたことをきっかけに住まいを考え直すご家庭も少なくありません。

東徳によくあるご相談
親御さんが施設に入ることになり、実家を売って費用にあてたいけれど、物忘れが進んでいて誰が手続きをするのか分からない、というご相談があります。無料の査定で実家の価格の目安を書面でお伝えし、成年後見などの手続きは提携する司法書士・弁護士をご紹介しています(ご紹介は無料)。
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机の上の家の模型と卓上カレンダー、お茶、手帳のイメージ写真
イメージ:入居の時期と売却の段取りを考える(実際の物件・書類ではありません)

周南市の相談窓口

周南市では、成年後見制度の相談を周南市成年後見支援センターが受け付けており、制度の説明や利用に向けた支援を行っています。また、市内5か所の地域包括支援センター(愛称いきいきさぽーと)でも、高齢者の権利を守る相談の一つとして成年後見制度の活用を支援しています。親の物忘れが気になり始めたら、早めに相談してみてください。

東徳不動産商事がお手伝いできること

成年後見人が家庭裁判所に自宅の売却の許可を申し立てるときは、添付する資料として「不動産業者作成の査定書」が求められます(裁判所の案内による)。この査定書は、私たちが作成できます。手続きの選び方や、申立書、任意後見・家族信託の契約書の作成は、司法書士・弁護士の業務です。

よくある質問

認知症と診断されたら、もう親本人は家を売れませんか?

診断を受けたことだけで、ただちに売れなくなるわけではありません。判断能力の程度によっては、本人が売買の内容を理解して契約できる場合もあります。ただし、後から契約の有効性が争われることもあるため、医師の意見や司法書士の意思確認を踏まえて慎重に判断します。

法改正を待ってから成年後見を申し立てるべきですか?

改正法の施行日はまだ決まっておらず、公布(令和8年6月24日)から2年6か月以内、遅くとも2028年12月までに施行されます。施設費用など急ぎの事情がある場合は、待たずに現行の制度で進めることも検討しましょう。個別の判断は、家庭裁判所や司法書士・弁護士にご相談ください。

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トウト君ご相談は東徳へ
認知症の親の家のご相談は、地元70年の東徳不動産商事へ
親の家を売るときは、親の判断能力によって選べる方法が変わります。売るかどうか迷っている段階でも、施設への入居を控えている方も、まずはお気軽にご相談ください。
トウト君のひとこと|親の判断能力がしっかりしているうちに実家の価格の目安を知っておくと、家族で話し合いやすくなります。売るかどうか決まっていなくても、ご相談ください。

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▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)

参考資料

・e-Gov法令検索 民法 第3条の2:https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/129AC0000000089

・裁判所「後見開始」:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_01/index.html

・最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和7年1月~12月」3ページ:https://www.courts.go.jp/assets/20260316koukengaikyou-r7.pdf

・裁判所「成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可」:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_04/index.html

・大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」(令和7年4月):https://www.courts.go.jp/osaka/vc-files/osaka/119_R7.04_hosyumeyasu.pdf

・法務省「民法等改正法の概要」(令和8年6月):https://www.moj.go.jp/content/001465481.pdf

・法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00410.html

・日本公証人連合会「任意後見契約」:https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow04

・裁判所「任意後見監督人選任」:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_04/index.html

・周南市「成年後見制度」:https://www.city.shunan.lg.jp/soshiki/24/87752.html

・周南市「地域包括支援センター」:https://www.city.shunan.lg.jp/site/houkatsucare/101895.html

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