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不動産の査定額はどう決まる?査定の3つの方法と査定書の見方

不動産売却

不動産の査定額はどう決まる?

査定の3つの方法と、査定書の読み方

執筆:東徳不動産商事 編集部

この記事はe-Gov法令検索・国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第34条の2関係8などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。

家や土地の売却を考えて査定を受けると、査定額とあわせて「査定書」を受け取ります。ところが、事例の一覧や補正の数字が並んでいて、どこを見ればよいか分からないという声をよく聞きます。査定額は、決まった考え方にもとづいて組み立てられた数字です。仕組みが分かれば、その金額に納得できるかどうかを自分で判断できるようになります。この記事では、周南市で売買を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、査定額の決まり方と、査定書の読み方を解説します。

トウト君この記事で分かること
✓ 査定額を出す3つの方法と、物件ごとの使い分け
✓ 査定書に載る主な項目と、事例・補正の理由の確かめ方
✓ 査定価格・売り出し価格・成約価格の違い
✓ 査定額が会社によって違う理由と、高すぎる査定の見分け方
✓ 公示地価・路線価・固定資産税評価額と査定の違い

結論:査定額は「根拠」とセットで読む

査定額は、不動産会社が「このくらいの価格なら、通常の売却活動で売れるだろう」と見立てた金額です。その金額で売れる保証ではありません。大切なのは金額そのものより、どの事例と比べ、どんな理由で上げ下げしたのかという根拠です。根拠に納得できる査定書であれば、売り出し価格を決めるときの確かな物差しになります。

査定額を出す3つの方法

取引事例比較法|近くで売れた事例と比べる

近くで実際に売れた似た物件の価格をもとに、広さや形、駅や道路との関係、売れた時期の違いを補正して求める方法です。土地やマンションの査定では、この方法が中心になります。

原価法|建て直す費用から古くなった分を引く

同じ建物を今建てたらいくらかかるかを見積もり、築年数や傷み具合に応じて価値が減った分を差し引く方法です。一戸建ての建物部分に使われることが多く、土地は事例との比較、建物は原価法で求めて合計するのが一般的です。

収益還元法|家賃収入から逆算する

その物件が生み出す家賃収入から、経費を差し引いた利益をもとに価格を求める方法です。アパートや貸店舗など、収益を目的に買われる物件で重視されます。

多くの不動産会社は、公益財団法人不動産流通推進センターが作成した「価格査定マニュアル」や、これに準じた方法を使っています。このマニュアルは、戸建住宅、RC造(鉄筋コンクリート造)の戸建住宅、住宅地、マンションの4種類に分かれています。

査定額を出す3つの方法の比較表。取引事例比較法は近くで売れた似た物件の価格を補正して求め、土地やマンションで中心になる。原価法は建て直す費用から古くなった分を引いて求め、一戸建ての建物部分に使われることが多い。収益還元法は家賃収入から経費を引いた利益をもとに求め、アパートや貸店舗で重視される。
図1 査定の3つの方法と、主に使われる物件

簡易査定と訪問査定で、査定書の中身が変わる

簡易査定(机上査定)は、登記の情報や周辺の事例だけで出すため、建物の状態は「築年数相応」と仮定して計算します。訪問査定では、雨漏りの跡や設備の状態、日当たり、隣地との境界なども確認するため、補正の項目が増え、根拠がより具体的になります。売ることを決めたら、訪問査定の査定書で判断するのがおすすめです。私たちの場合、査定書をお渡しするまでの目安は、簡易査定で1〜3日、訪問査定で1週間前後です。

机の上に開いた書類と虫めがね、家の模型、手帳のイメージ写真
イメージ:査定書を一つずつ確かめる様子(実際の物件・書類ではありません)

査定書に載る主な項目

① 物件の概要:所在、面積、築年数、構造、道路との接し方

② 比較に使った取引事例:場所、面積、価格、成約した時期

③ 補正の内容:事例と比べて上げた点、下げた点とその割合

④ 査定価格:土地と建物の内訳、価格の幅

⑤ 売り出し価格の提案と、売却までの期間の見込み

事例の選び方を確かめる

まず、比べている事例が本当に似た物件かを見ます。距離が近いか、成約した時期が新しいか、広さや用途が近いかがポイントです。駅に近い住宅地の土地を、郊外の広い土地の事例と比べていれば、査定額はずれやすくなります。売り出し中の価格ではなく、実際に売れた価格かも確認しましょう。

補正の理由を確かめる

たとえば、近くの事例が坪20万円で売れていたとします。その後の地価の動きでプラス1%、対象の土地が角地でプラス3%、形がいびつでマイナス5%と補正すると、20万円×1.01×1.03×0.95で坪約19.8万円です。50坪なら約988万円になります。数字は説明のための仮のものですが、このように一つひとつの補正に理由が書かれているかが、査定書の信頼性を左右します。

補正の計算の例。近くの事例の坪20万円に、地価の動きでプラス1%の1.01、角地でプラス3%の1.03、形がいびつでマイナス5%の0.95を掛けると坪約19.8万円。50坪なら約988万円。数字は説明のための仮のもの。
図2 事例の価格に補正を掛けて査定額を組み立てる例

査定価格・売り出し価格・成約価格は別物

査定価格は売れる見込みの価格、売り出し価格は広告に出す価格、成約価格は買主と合意して実際に売れた価格です。売り出し価格は、値引きの交渉を見込んで査定価格より少し高めに設定することが多く、成約価格はそこから調整されて決まります。この三つを混同しないことが大切です。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|よくある勘違い
査定額は「この金額で売れる」という約束ではありません。広告に出す売り出し価格や、実際に売れた成約価格とは別の数字だと覚えておきましょう。

価格の根拠を示すことは、法律上の義務

宅地建物取引業法34条の2第2項では、不動産会社が売買の価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。国土交通省の考え方では、根拠は価格査定マニュアルや同じような取引の事例など、合理的に説明できるものとされ、口頭でも書面でもよいとされています。また、根拠を示すための査定の費用は、依頼者に請求できないとされています。根拠の説明を求めるのは、売主として当然の権利です。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|ここが大事
価格の根拠を明らかにするのは、不動産会社の義務です。どの事例と比べたのか、なぜ上げ下げしたのか、遠慮せずに聞いてみてくださいね。

査定額が会社によって違う理由と、高すぎる査定の見分け方

査定額に差が出るのは、選ぶ事例、補正の割合、建物を住宅として評価するか解体前提の古家とみるか、といった前提が会社ごとに違うためです。差があること自体は不自然ではありません。注意したいのは、根拠の説明がないまま高い金額だけが示されている場合です。事例が遠い、古い、売り出し中の価格を使っている、上げる補正ばかりで理由がない、といった査定書は慎重に読みましょう。高すぎる価格で売り出すと反響が少なく、値下げを重ねるうちに売却が長引くことがあります。当社では、相場より大幅に高い価格での売り出しはご提案せず、近くの成約事例を示しながら、その価格では難しい理由を正直にお伝えしています。売れないことが分かっている価格では、売主の時間と、相場に合った価格なら出会えた買い手との機会を失うためです。

根拠が分かる査定書と慎重に読みたい査定書の見分け方。根拠が分かる査定書は、近くの新しい事例と比べている、実際に売れた価格を使っている、補正の一つひとつに理由がある。慎重に読みたい査定書は、事例が遠い・古い、売り出し中の価格を使っている、上げる補正ばかりで理由がない。
図3 査定書の根拠で見るところ

東徳によくあるご相談
ほかの会社から受け取った査定書の金額に納得できず、どこを見ればよいか分からない、というご相談があります。比べた事例や補正の理由を一緒に読み、売り出し価格の考え方をお伝えしています。査定書をお持ちの方も、これから査定を受ける方も、お気軽にご相談ください。
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公示地価・路線価・固定資産税評価額との違い

① 公示地価:国が毎年1月1日時点の標準的な土地の価格を調べ、3月に公表

② 基準地価:都道府県が7月1日時点で調べ、9月に公表

③ 路線価:相続税などの計算用で、公示地価の8割程度が目安。7月に公表

④ 固定資産税評価額:固定資産税の計算用で、公示地価の7割程度が目安。3年に1度見直し

これらは目的ごとに決められた公的な指標で、個別の土地の形や建物の状態は反映されていません。査定は、こうした指標や国土交通省の不動産情報ライブラリ(不動産の取引価格や地価公示などを調べられる国のウェブサイト)の取引価格も参考に、その物件が実際にいくらで売れそうかを見立てるものです。固定資産税の評価額だけで査定額の高い安いを判断しないようにしましょう。固定資産税など税金の扱いは個別の事情で変わるため、最終的な判断は税理士や税務署にご確認ください。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|読み方のコツ
固定資産税の評価額は、公示地価の7割程度が目安の数字です。査定額と見比べるときは、もともと物差しが違う数字だと考えて読みましょう。

周南市で査定の幅が広がりやすいケース

当社の実感では、徳山駅周辺のマンションや土地は取引事例が多く、比べる事例が集まりやすいため、査定額も絞り込みやすくなります。駅近のマンションなら、決まるまで3〜6か月ほどが目安です。一方、鹿野・熊毛・須々万などの郊外や山あいの地域では、似た条件の取引が少なく、売れるまでに1年以上かかることもあります。査定でも、離れた場所や数年前の事例を使わざるを得ないことがあります。その場合、査定額は幅を持たせて示されるのが一般的です。地域の買い手の事情を知っている会社ほど、幅の理由を具体的に説明できます。

机の上に開いた資料と家の模型、万年筆、湯のみのイメージ写真
イメージ:資料を広げて査定の根拠を確かめる様子(実際の物件・書類ではありません)

査定前に用意するとよいもの

① 登記事項証明書や権利証(面積や持ち主を正確にするため)

② 購入時の売買契約書や建物の図面(広さや仕様を確かめるため)

③ 固定資産税の納税通知書(評価額や課税の内容を確かめるため)

④ 測量図や境界の資料(土地の補正に関わるため)

⑤ リフォームや修繕の記録(建物の評価に反映するため)

よくある質問

査定書を受け取ると費用がかかりますか?

根拠を示すための査定の費用は、依頼者に請求できないとされています。ただし、不動産鑑定士による鑑定評価は別のもので、有料です。相続や裁判などで公的に通用する評価が必要な場合は、鑑定評価を検討します。

査定額に納得できないときは、どうすればよいですか?

どの事例を使い、なぜその補正にしたのかを質問してください。より近い事例や新しい事例があれば、差し替えて計算し直してもらうこともできます。説明を聞いても納得できなければ、別の会社の査定と根拠を比べてみるとよいでしょう。

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私たちは、根拠を書いた査定書に沿って査定額をご説明し、諸費用やローン残高を引いた手取り額の目安や、税金・特例の目安もお伝えします。査定は無料で、ご依頼の義務もありません。お気軽にご相談ください。
トウト君のひとこと|ほかの会社の査定書でも大丈夫です。どの事例と比べたのか、一緒に読み解いていきましょう。

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参考資料

・e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2第2項:https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/327AC1000000176

・国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)第34条の2関係8:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf

・国土交通省 資料「価格査定マニュアルの改訂経緯(一部抜粋)」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001883957.pdf

・国土交通省「地価公示」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html

・国土交通省「都道府県地価調査」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000044.html

・国土交通省「令和8年都道府県地価調査を公表しました」(令和8年9月16日):https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_011107.html

・国税庁「令和8年分の路線価等について」:https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/rosenka/index.htm

・総務省「固定資産税の概要」:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

・総務省「固定資産税」:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html

・公益財団法人不動産流通推進センター「価格査定マニュアル」:https://www.retpc.jp/chosa/satei-2/

・国土交通省「不動産情報ライブラリ」:https://www.reinfolib.mlit.go.jp/

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