
専任媒介と一般媒介の違い|どっちを選ぶ?3種類の媒介契約を比較
専任媒介と一般媒介の違い
3種類の媒介契約を比べて、物件に合う契約を選ぶ
執筆:東徳不動産商事 編集部
この記事は国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約書)・宅地建物取引業法34条の2第3項(e-Gov法令)などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。
家や土地の売却を不動産会社に頼むときは、最初に「媒介契約」を結びます。媒介契約には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があり、どれを選ぶかで、頼める会社の数や、販売状況の報告の頻度、自分で見つけた買い手と取引できるかどうかが変わります。この記事では、周南市で不動産の売買を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、3種類の違いを法律で決まっている項目ごとに整理し、物件や状況に合った選び方、途中で切り替えるときの注意点をまとめました。契約をめぐるトラブルなど個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
![]() | この記事で分かること ✓ 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の5つの違い ✓ 2025年1月から、売主専用の画面で販売状況を確かめる方法 ✓ 周南市の物件や事情に合わせた媒介契約の選び方 ✓ 途中で切り替える・解約するときの注意点 |
結論:売れやすい物件なら一般媒介、手間をかけて売る物件なら専任媒介
駅に近いマンションや人気の住宅地の家など、黙っていても問い合わせが入りやすい物件は、複数の会社に頼める一般媒介でも販売が進みやすい傾向があります。一方、郊外の土地や古い家、価格の見極めが難しい物件は、1社が責任を持って販売を組み立てる専任媒介や専属専任媒介のほうが向いています。
どの契約でも、仲介手数料の上限は同じです。違いは「売主が自由に動ける範囲」と「不動産会社が負う義務の重さ」にあります。この2つの釣り合いを、物件と自分の事情に合わせて選ぶのが基本の考え方です。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 契約の種類で仲介手数料が変わる、と思われがちですが、上限はどの契約でも同じです。選ぶときは、自由に動ける範囲と、会社が負う義務の重さを比べましょう。 |
3種類の媒介契約の違いを5つの項目で整理
複数の会社への依頼
一般媒介は、複数の不動産会社に同時に売却を頼めます。専任媒介と専属専任媒介は、1社にしか頼めません。国の標準媒介契約約款では、専任の契約中にほかの会社を通じて売買を成立させると、約束した手数料に相当する違約金を求められることがあります。

図1 一般・専任・専属専任のちがい(仲介手数料の上限はどの契約でも同じ)
自分で見つけた買い手との取引
親戚や隣の方が買いたいと言ってくれた場合など、売主が自分で買い手を見つけて直接取引することを「自己発見取引」といいます。一般媒介と専任媒介では認められていますが、専属専任媒介では認められず、契約した会社を通す必要があります。なお、専任媒介で自己発見取引をした場合は、それまでにかかった販売活動の費用を請求されることがあります。
契約期間
専任媒介と専属専任媒介の契約期間は、宅地建物取引業法で3か月以内と決まっています。3か月より長く定めても、3か月に短縮されます。更新は売主から申し出た場合に限られ、自動で更新されることはありません。一般媒介に法律上の上限はありませんが、標準媒介契約約款では同じく3か月以内とされています。
レインズへの登録の期限
レインズとは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する、不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組みです。専任媒介は契約の日から7日以内、専属専任媒介は5日以内に登録する義務があり、日数には不動産会社の休業日を含みません。一般媒介では登録は義務ではなく、任意です。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 専任媒介にすると、ほかの会社の買い手には紹介されない、と思われがちです。でもレインズへの登録が義務なので、ほかの会社も物件情報を見て、自社のお客様に紹介できます。 |
販売状況の報告の頻度
専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上、販売活動の状況を売主に報告する義務があります。一般媒介には法律上の報告義務はありませんが、購入の申込みがあったときは、どの契約でも遅れずに報告することになっています。当社では専任媒介でお任せいただくことが多く、販売状況は書面やメールでご報告し、電話や対面でもご説明しています。一般媒介の場合は、ほかに依頼している会社を知らせていただく型(明示型)でお受けしています。
① 一般媒介:複数社に依頼できる、自己発見取引も可、レインズ登録と定期報告の義務なし
② 専任媒介:1社のみ、自己発見取引は可、7日以内に登録、2週間に1回以上の報告
③ 専属専任媒介:1社のみ、自己発見取引も不可、5日以内に登録、1週間に1回以上の報告
2025年1月から、売主が販売状況を確かめやすくなった
国土交通省は宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日から、専任媒介や専属専任媒介でレインズに登録した物件について、取引状況の登録を不動産会社に義務付けました。取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。

図2 取引状況の登録の義務化(2025年1月1日から)で確かめやすくなった
売主には、レインズに登録したことを証明する書類が渡されます。2025年1月からは、この書類の二次元コードを読み取ると、売主専用の画面で自分の物件の状況を確認できるようになりました。覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていたら、依頼した会社に問い合わせてください。ほかの会社からの紹介を断る、いわゆる「囲い込み」を防ぐための仕組みです。

イメージ:手元の証書とスマートフォンで販売状況を確かめる(実際の物件・書類ではありません)
周南市では、物件と状況でこう選ぶ
徳山駅周辺のマンションと、郊外の土地では向く契約が違う
当社の実感では、徳山駅周辺のマンションや土地は取引事例も多く、比較的早く決まります。駅近のマンションなら、決まるまで3〜6か月ほどが目安です。こうした物件は、一般媒介で複数社に頼む方法も選びやすいでしょう。一方、鹿野・熊毛・須々万などの郊外や山あいの物件は買い手が限られ、売れるまでに1年以上かかることもあります。こうした物件は、1社が価格の見直しや買い手探しに腰を据えて取り組める専任媒介が向いています。あわせて、仲介だけでなく、不動産会社による買取や空き家バンクへの登録も検討しておくと、売れ残ったときに次の手を打ちやすくなります。

図3 周南市での選び方の目安(期間は東徳不動産商事の実感で、物件によって変わります)
急ぐなら専任、急がないなら一般で様子を見る
住み替えや転勤で売る時期が決まっている場合は、報告の義務がある専任媒介や専属専任媒介で、販売の手応えを週単位や2週間単位で確かめながら進めると判断が遅れにくくなります。時間に余裕があり、相場の反応を見たい場合は、一般媒介で始めるのも一つの方法です。
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近所に知られたくないなら、窓口を1社に絞る
複数の会社に頼むと、それぞれが広告を出すため、情報が広がりやすくなります。近所に知られずに売りたい場合は、窓口を1社に絞って、チラシや看板を出さない、ネット広告の載せ方を工夫するといった進め方を相談すると安心です。レインズは不動産会社どうしの仕組みで、一般の方が見るものではありません。
途中で切り替えるとき・解約するときの注意
① 専任から一般、別の会社への切り替えは、契約期間の満了時に更新しないのが基本
② 期間中の解約は、会社側の義務違反などがない場合、販売にかかった費用を請求されることがある
③ 契約終了後2年以内に、前の会社から紹介された相手と直接売買すると、報酬を請求されることがある
④ 一般媒介で別の会社にも頼むときは、契約で決めたとおり、依頼先の会社に知らせる
報告がない、レインズへの登録証明書が渡されないなど、法律で決まった義務が守られていない場合は、標準媒介契約約款でも、相当の期間を定めて履行を求め、それでも果たされないときは売主から契約を解除できるとされています。依頼先を変えることで動き出す物件もあり、当社でも、ほかの会社で売れなかった物件をお預かりして決まったことがあります。効いたのは、近くの成約事例を根拠にした価格の見直し、写真や広告の出し方の変更、更地渡しや買取といった売り方の変更でした。まずは契約書を読み返し、更新の時期と解約の条件を確認してから動きましょう。

イメージ:契約の書類を読み返して条件を確かめる様子(実際の物件・書類ではありません)
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|ここが大事 依頼先を変えたいときは、まず契約書で更新の時期と解約の条件を確かめましょう。切り替えは、契約期間の満了時に更新しないのが基本です。 |
よくある質問
専任媒介にすると、ほかの会社の買い手には紹介されないのですか?
いいえ。専任媒介や専属専任媒介ではレインズへの登録が義務なので、ほかの不動産会社も物件情報を見て、自社のお客様に紹介できます。取引状況が「公開中」になっているかは、売主専用の画面で確認できます。
一般媒介で3社に頼めば、3倍早く売れますか?
そうとは限りません。問い合わせの窓口が増える一方で、各社にとっては自社で決まるとは限らない物件になるため、広告や価格の提案に力を入れにくくなる面もあります。依頼する会社の数より、価格設定と販売の進め方が合っているかが大切です。
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参考資料
・国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約書):https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001723420.pdf
・宅地建物取引業法34条の2第3項(e-Gov法令):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/327AC1000000176
・宅地建物取引業法施行規則15条の10第1項(e-Gov法令):https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/332M50004000012
・国土交通省報道発表(令和6年12月24日):https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00087.html
・国土交通省リーフレット「レインズの『ステータス管理機能』を活用しましょう!」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001854004.pdf
