
仲介手数料は交渉・無料にできる?からくりと注意点
仲介手数料は交渉・無料にできる?
安くなるからくりと、値引きより大切なこと
執筆:東徳不動産商事 編集部
この記事は国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」・国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。
家や土地を売る、買うときにかかる仲介手数料は、諸費用の中でも大きな金額です。「手数料無料」「半額」という広告を見かけると、どうして安くできるのか、交渉すれば下げてもらえるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、周南市で不動産の売買を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、仲介手数料が無料や半額になる仕組み、値引き交渉のタイミングと伝え方、手数料の安さだけで選ぶときの注意点をまとめました。上限額の計算方法は別の記事で詳しく解説しています。契約内容に関するトラブルは、弁護士や県の宅地建物取引業の相談窓口にご相談ください。
![]() | この記事で分かること ✓ 仲介手数料の上限の決まり方と、800万円以下の物件の特例 ✓ 手数料が無料・半額になる主なからくり ✓ 囲い込みを防ぐ2025年からの取引状況の登録 ✓ 値引き交渉のタイミングと伝え方 ✓ 手数料以外に比べるべき点 |
結論:手数料は交渉できるが、安さには必ず理由がある
法律が定めているのは仲介手数料の上限であり、決まった金額ではありません。そのため、上限より低い金額で合意することは問題なく、交渉する余地もあります。一方で、手数料が無料や半額になるときは、別のところで不動産会社の収入が確保されている場合がほとんどです。
売主にとって大切なのは、手数料の額そのものよりも、最終的にいくらで、どのくらいの期間で売れて、手元にいくら残るかです。値引きを考えるときは、仕組みを知ったうえで、売却活動の中身とあわせて判断することをおすすめします。
仲介手数料は「上限」であって「定額」ではない
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通大臣の告示で決められています。400万円を超える物件では「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限で、これを超えて受け取ることは禁止されています。2024年7月からは、800万円以下の物件について、上限を30万円に消費税を加えた額までとできる特例も設けられました。

図1 上限であって定額ではない(特例は2024年7月から。媒介契約の前に説明と合意が必要)
国土交通省も、媒介契約を結ぶ際に、あらかじめ上限の範囲内で手数料の額を合意しておくことが重要だと案内しています。多くの会社が上限額を手数料としているのは慣行であり、法律で決まった定額ではありません。金額に疑問があれば、媒介契約の前に確認して構いません。
手数料が無料・半額になる主なからくり
売主と買主の両方から受け取る「両手仲介」
一つの会社が売主と買主の両方の仲介をすると、双方から手数料を受け取れます。これを両手仲介といいます。片方の手数料を無料や半額にしても、もう片方から受け取ることで収入を確保できるため、値引きがしやすくなります。両手仲介は法律で認められた取引の形で、それ自体が悪いわけではありません。

図2 無料・半額のからくりと、契約の前に確かめること
ただ、両手仲介になるかどうかは、買い手が見つかるまで分かりません。最初から大きな値引きを約束する場合、自社で買い手を見つけることを前提にしていることもあります。その場合でも、他社から買い手の紹介があったときに断らない方針かどうかを、契約前に確認しておくと安心です。
不動産会社が売主の物件
不動産会社や住宅会社が自ら売主となる物件を買う場合、仲介が入らないため、そもそも仲介手数料はかかりません。「手数料無料」とされる物件の中には、このケースも多く含まれます。手数料がかからない分、物件価格や付帯条件を他の物件と比べて検討することが大切です。
広告費など別の名目の費用
通常の販売活動にかかる広告費は、仲介手数料に含まれると考えられています。依頼者が特別に頼んだ広告に限り、その料金を別に受け取ることが認められています。手数料が安くても、契約書に広告費や事務手数料などの別費用が書かれていないか、総額で確認しましょう。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 手数料が安ければ売るときの費用も安く済む、とは限りません。広告費や事務手数料などの別の費用がないか、総額で比べましょう。 |
注意したい「囲い込み」と2025年からの対策
両手仲介を優先するあまり、他の会社から買い手の紹介があっても「商談中です」などと断り、物件を自社だけで抱え込むことを「囲い込み」といいます。売れるまでの期間が延びたり、値下げを迫られたりして、売主の利益を損なうおそれがあります。
国土交通省は対策として、宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日から、専任媒介や専属専任媒介の物件について、不動産会社どうしの物件情報網であるレインズへの取引状況の登録を義務にしました。取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つで、売主は登録証明書の二次元コードから専用画面に入り、自分の物件の状況を確認できます。身に覚えがないのに紹介停止になっていれば、依頼した会社に問い合わせましょう。専任媒介や専属専任媒介の物件で、登録した取引状況が事実と異なる場合は、宅地建物取引業法65条1項にもとづく指示処分の対象になることが、国土交通省の通達「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に明記されています。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|ここが大事 売り出し中は、登録証明書の二次元コードから自分の物件の取引状況を確かめられます。身に覚えのない紹介停止になっていたら、依頼した会社に問い合わせましょう。 |
値引き交渉のタイミングと伝え方
① 交渉は媒介契約を結ぶ前に行い、合意した金額を契約書に書いてもらう
② 「上限でなければ困る」ではなく「この金額なら依頼したい」と具体的に伝える
③ 専任媒介にする、売り出し価格を相場に合わせるなど、会社側の手間が減る条件とあわせて相談する
④ 値引きで販売活動の内容が変わるかどうかを、その場で確認する
売買契約が決まる直前や、引き渡しの後に値引きを求めると、合意済みの契約内容を変えることになり、話がこじれやすくなります。手数料の相談は、最初の段階で率直にするのが一番です。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 売買契約が決まりそうな時に値引きをお願いすればよい、と思われがちです。合意済みの内容を変えることになるので、手数料の相談は媒介契約の前にしましょう。 |
なお、800万円以下の物件では、特例により手数料が通常の計算より高くなる場合があります。現地調査や遠方への移動など、価格の安い物件でもかかる手間を反映するための仕組みで、媒介契約の前に説明と合意が必要とされています。東徳不動産商事でもこの特例を使うことがあり、その場合は媒介契約を結ぶ前に、手数料の額と理由をご説明し、合意をいただいてから適用します。金額に納得できない点があれば、その場で理由を尋ねましょう。
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安さだけで選ぶと起こりやすいこと
たとえば2,000万円の家の場合、手数料の上限は72万6,000円で、半額なら36万3,000円の節約になります。一方、販売活動が手薄で、売却価格が2%下がれば40万円の減少です。手数料の差は、売れる価格や売れるまでの期間の差で簡単に逆転します。

図3 手数料の差は、売れる価格の差で逆転することがある
また、写真や広告が少ない、問い合わせへの反応が遅いといった状態が続くと、売り出しが長引き、固定資産税や管理の負担も続きます。ほかの会社で売れなかった物件を当社でお預かりして決まったときも、効いたのは、近くの成約事例を根拠にした価格の見直し、写真や広告の出し方の変更、更地渡しや買取といった売り方の変更でした。手数料と売却活動は、ひとまとまりで比べることが大切です。なお、売却にかかる税金の扱いは個別の事情で変わるため、最終的な判断は税理士や税務署にご確認ください。
手数料以外に比べるべき点
① 査定価格の根拠を、近隣の成約事例などで説明してくれるか
② 広告の方法と、レインズへの登録や他社への紹介の方針
③ 販売状況の報告の頻度と方法
④ 手数料以外にかかる費用の有無と総額
⑤ 地域の買い手の動きを知っているか
周南市でもエリアによって売れ方は大きく違います。当社の実感では、徳山駅周辺のマンションや土地は取引事例も多く比較的早く決まり、駅近のマンションなら3〜6か月ほどが目安です。一方、鹿野・熊毛・須々万などの郊外や山あいの物件は、売れるまでに1年以上かかることもあり、仲介だけでなく買取や空き家バンクも併せて考える必要があります。物件に合った売り方と、売れるまでの期間の見通しを具体的に説明できるかどうかも、依頼先を選ぶ目安になります。

イメージ:手数料を含めた費用の総額を書き出して比べる様子(実際の物件・書類ではありません)
よくある質問
買主として、手数料無料の物件を選んでも大丈夫ですか?
手数料が無料であること自体に問題はありません。ただし、物件価格や付帯する費用を含めた総額で、周辺の相場と比べて判断しましょう。売主の不動産会社から直接買う場合は、建物の状態や契約条件を、重要事項説明で丁寧に確認することが大切です。
媒介契約を結んだ後から、手数料の値引きをお願いできますか?
お願いすること自体はできますが、一度合意した条件を変えることになるため、応じてもらえないことも多いのが実情です。値引きを希望する場合は、媒介契約の前に相談し、合意した金額を書面に残しておきましょう。
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▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)
参考資料
・国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf
・国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
・国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」改正の概要:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750144.pdf
・国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款):https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001723420.pdf
・国土交通省リーフレット「レインズの『ステータス管理機能』を活用しましょう!」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001854004.pdf
・国土交通省報道発表(令和6年12月24日):https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00087.html
・国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」新旧対照(令和7年1月1日施行):https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001752518.pdf
