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家賃の値上げはできる?手順と入居者への伝え方

賃貸経営

家賃の値上げはできる?

手順と、入居者への伝え方

執筆:東徳不動産商事 編集部

この記事は国土交通省「国土交通月例経済(令和8年9月号)概況」10.建設工事費デフレーター・e-Gov法令検索などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。

修繕の工事費をはじめ、賃貸経営にかかる費用が上がっています。一方で家賃は何年も据え置いたまま、という物件も少なくありません。「家賃を上げたいが、入居者に言い出しにくい」「勝手に上げてよいのか分からない」と悩むオーナーも多いでしょう。この記事では、周南市で賃貸管理を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、家賃の値上げの法的な考え方と、実際の手順、入居者への伝え方、そして値上げで気をつけたいリスクを解説します。法的な争いになりそうな場合は、弁護士にご相談ください。

トウト君この記事で分かること
✓ 家賃の値上げを求められる根拠と、入居者の合意が基本になる理由
✓ 相場の調べ方から書面の取り交わしまでの、値上げの手順と伝え方
✓ 入居者が合意しないときの、話し合い・調停・裁判の流れ
✓ 退去と空室のリスクと、値上げ以外の打ち手

結論:根拠があれば求められるが、入居者の合意が基本

借地借家法では、税金の負担の増加や物価の変動、周辺の似た物件の家賃と比べて今の家賃が低すぎる場合などに、家賃の値上げを求めることができると定められています。ただし、オーナーが一方的に決めて上げられるわけではありません。契約の途中で家賃を変えるには、原則として入居者の合意が必要です。

つまり、家賃の値上げは「根拠を示して、入居者に納得してもらう」ことが基本です。そのためには、周辺の相場や費用の上昇といった、客観的な根拠をそろえて、丁寧に説明することが欠かせません。

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|よくある勘違い
オーナーが通知すれば、翌月から新しい家賃に変わるわけではありません。

値上げが認められやすい3つの根拠

① 固定資産税などの税金や、管理にかかる費用が増えた

② 物価が上がるなど、経済の状況が変わった

③ 周辺の似た物件の家賃と比べて、今の家賃が明らかに低い

このうち、入居者にとって最も分かりやすいのは、周辺の家賃の相場との比較です。同じエリア、同じくらいの広さや築年数の物件が、いくらで募集されているかを資料にまとめると、説得力のある根拠になります。設備の更新や、共用部の改修を行った場合は、その内容も伝えましょう。固定資産税など税金の扱いの個別の判断は、税理士や税務署にご確認ください。

値上げの手順

① 周辺の家賃の相場を調べ、値上げの幅と根拠を決める

② 値上げの時期を決める(契約の更新に合わせるのが一般的)

③ 更新の数か月前に、書面で値上げのお願いと理由を伝える

④ 入居者からの質問や相談に、丁寧に答える

⑤ 合意できたら、新しい家賃を書面で取り交わす

家賃の値上げの手順の図。周辺の家賃の相場を調べて値上げの幅と根拠を決め、時期は契約の更新に合わせるのが一般的。更新の数か月前に書面で値上げのお願いと理由を伝え、入居者からの質問や相談に丁寧に答え、合意できたら新しい家賃を書面で取り交わす。
図1 通知は急がず、入居者が考える時間をとれるように

値上げの時期は、契約の更新のタイミングに合わせると、入居者にとっても受け入れやすくなります。通知は、急ではなく、更新の数か月前には届くようにしましょう。考える時間があることで、入居者も冷静に判断できます。

入居者への伝え方のポイント

値上げのお願いは、一方的な通告ではなく、理由を添えたお願いとして伝えることが大切です。書面には、値上げ後の家賃と開始の時期、値上げの理由、周辺の相場などの根拠、問い合わせの窓口を明記します。長く住んでくれている入居者への感謝の言葉を添えることも忘れないようにしましょう。

値上げの幅は、一度に大きく上げるより、相場との差を数年かけて少しずつ縮めるほうが、受け入れてもらいやすい傾向があります。また、長く住んでいる入居者には値上げの幅を抑えるなど、入居者ごとの事情に配慮することも、関係を保つうえで効果的です。

東徳によくあるご相談
アパートの管理や空室のご相談の中で、長く据え置いてきた家賃が周辺の相場と比べて適正なのか知りたい、というお話をうかがいます。東徳不動産商事では、周南市の募集の家賃と比べて値上げの余地があるかを一緒に確かめ、入居者へのご案内の方法もご提案します。
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入居者が合意しない場合

入居者が値上げに同意しない場合でも、オーナーが決めた新しい家賃を一方的に払わせることはできません。話し合いで解決しなければ、裁判所の調停で話し合い、それでもまとまらなければ裁判で決めることになります。家賃の争いは、いきなり裁判を起こすのではなく、まず調停を申し立てる決まりになっています。周南市内の建物であれば、建物の所在地を管轄する周南簡易裁判所が調停の申立て先になります(当事者が合意すれば、建物の所在地を管轄する地方裁判所〈周南市なら山口地方裁判所周南支部〉に申し立てることもできます)。

話し合いの間、入居者は、自分が相当と考える額の家賃を払い続けることができます。ただし、のちに裁判で値上げが認められると、入居者は不足していた額に年1割の利息を付けて払うことになります。オーナーが受け取りを拒むと、入居者は法務局に家賃を預ける「供託」という手続きをとることもあります。争いが長引くと、オーナーにとっても時間と費用の負担が大きくなるため、できるだけ話し合いで解決することが望ましいでしょう。

入居者が値上げに合意しないときの流れの図。まず根拠を示して入居者と話し合い、まとまらなければ調停を申し立てる。家賃の争いはいきなり裁判ではなく、まず調停を申し立てる決まりになっている。調停でもまとまらなければ裁判で決める。その間、入居者は自分が相当と考える額の家賃を払い続けることができる。
図2 話し合いの間も、入居者は自分が相当と考える額を払い続けられる

値上げのリスク|退去と空室も考える

値上げを求めると、入居者が「それなら引っ越す」と退去を選ぶこともあります。退去されると、次の入居者が決まるまでの空室の期間や、原状回復の費用、募集の広告料がかかります。月数千円の値上げのために退去が起き、空室が数か月続けば、かえって収益が下がることもあります。

値上げを考えるときは、値上げで増える収入と、退去が起きた場合の損失の両方を試算しておきましょう。周辺の物件と比べて、今の家賃が相場より低い場合は値上げの余地がありますが、すでに相場並みの場合は、値上げより設備の改善などで入居を続けてもらうほうが得策なこともあります。

今の家賃の位置ごとの打ち手の比較表。周辺の相場より低い場合は値上げの余地があり、増える収入と退去の損失を先に試算する。すでに相場並みの場合は、値上げより設備の改善などで入居を続けてもらうほうが得策なこともある。今の入居者の値上げが難しい場合は、入居者が入れ替わるときに新しい募集の家賃を相場に合わせて見直す。
図3 値上げだけでなく、改善や募集の家賃の見直しも比べて選ぶ

トウト君
トウト君
トウト君のひとこと|ここが大事
値上げの幅を決める前に、退去が一度起きたら値上げで増えた分の何か月分が消えるかを計算しておくと、判断がぶれにくくなります。

値上げの前に、物件の価値を高める

入居者に値上げを受け入れてもらいやすくする方法の一つが、物件の価値を高める工夫をあわせて行うことです。たとえば、共用部の照明の交換や、防犯カメラの設置、インターネットの無料化、古くなった設備の交換などは、入居者にとって分かりやすい改善です。値上げのお願いの書面に、こうした改善の内容も添えれば、単なる負担の増加ではなく、住み心地の向上とセットの見直しとして受け止めてもらいやすくなります。

窓辺の木の机に置いたアパートの模型と観葉植物、棚の本のイメージ写真
イメージ:物件の価値を高める工夫を考える様子(実際の物件ではありません)

新しい入居者の家賃から見直す方法も

今の入居者の家賃を上げるのが難しい場合は、入居者が入れ替わるタイミングで、新しい募集の家賃を相場に合わせて見直す方法もあります。今の入居者との関係を損なわずに、物件全体の家賃を少しずつ相場に近づけていけます。見直すときは、同じエリアで同じくらいの広さや築年数の物件の募集の家賃と比べ、次の入居者の募集を始める前に新しい家賃を決めておきましょう。

よくある質問

契約書に「家賃は改定できる」と書いてあれば、上げられますか?

そうした条項があっても、改定は根拠を示したうえでの話し合いと合意が基本になる点は変わりません(まとまらなければ調停・裁判で決まります)。条項は、協議を始めるきっかけとして役立ちます。

定期借家契約の場合はどうなりますか?

定期借家契約(期間を決めて結び、期間が終わると更新せずに終わる契約)では、契約で家賃の改定のルールを決めておくことができます。また、契約の期間が終わったときに、新しい家賃で再契約するかを話し合うことになります。

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トウト君ご相談は東徳へ
家賃の見直しは、地元70年の東徳不動産商事へ
周南市の家賃の相場をもとに、今の家賃が適正かどうか、値上げの余地があるかを一緒に確認します。値上げの根拠の資料づくりや、入居者へのご案内の方法、退去が起きた場合の収支の試算もお手伝いします。当社とグループ会社には賃貸不動産経営管理士が在籍し、連携して対応します。話し合いがまとまらず調停などに進みそうな場合は、提携する弁護士をご紹介できます(ご紹介は無料)。家賃の見直しをお考えのオーナー様は、お気軽にご相談ください。
トウト君のひとこと|今の家賃と、周辺で募集されている家賃を並べるところから、一緒に始めましょう。

▶ お問い合わせフォームはこちら

▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)

参考資料

・国土交通省「国土交通月例経済(令和8年9月号)概況」10.建設工事費デフレーター:https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/getsurei/r08/09/overview.pdf

・e-Gov法令検索 借地借家法 第32条第1項:https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/403AC0000000090

・国土交通省「賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版・家賃債務保証業者型」第4条第3項:https://www.mlit.go.jp/common/001479824.pdf

・e-Gov法令検索 民事調停法 第24条の2:https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/326AC1000000222

・裁判所「民事調停」:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_01/index.html

・裁判所「山口県内の管轄区域表」:https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kankatu/yamaguti/index.html

・法務省「供託Q&A」Q23:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00055.html

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