
相続した不動産の分け方|遺産分割の4つの方法
相続した不動産の分け方
遺産分割の4つの方法と、代償金・税金・期限の注意点
執筆:東徳不動産商事 編集部
この記事は法務省・総務省などの公表資料にもとづいています(2026年10月確認)。
親が亡くなり、実家や土地を相続したとき、多くの方が悩むのが「兄弟姉妹でどう分けるか」です。預金と違って不動産は簡単に分けられず、評価額の考え方ひとつで取り分が数百万円変わることもあります。この記事では、周南市で不動産の売買を手がける私たち有限会社東徳不動産商事(以下、東徳不動産商事)が、遺産分割の4つの方法と向くケース、代償金の決め方、税金や期限の注意点をまとめました。個別の判断は、弁護士・司法書士・税理士にご確認ください。
![]() | この記事で分かること ✓ 遺産分割の4つの方法(現物・代償・換価・共有)と向くケース ✓ 代償金を決める不動産の評価の物差しと、評価で代償金が変わる計算例 ✓ 代償分割・換価分割の税金の注意点と、遺産分割協議書の要点 ✓ 話し合いがまとまらないときの調停・審判と、相続登記の期限 |
結論:誰かが住むなら代償分割、誰も使わないなら換価分割が基本
相続した不動産の分け方は、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つです。相続人の誰かが住み続けるなら代償分割、誰も使う予定がないなら換価分割が選ばれることが多く、共有分割は手軽な反面、後でもめやすい方法です。どの方法でも、相続人全員の合意と遺産分割協議書が必要です。
分け方は相続人の話し合いで決めるのが基本で、遺産の種類や各相続人の生活の状況などを考慮します(民法906条)。まとまらなければ家庭裁判所に分割を求められます(民法907条)。

イメージ:相続した実家の分け方を考える(実際の物件・書類ではありません)
遺産分割の4つの方法と向くケース
現物分割|そのままの形で分ける
実家は長男、預金は長女というように、遺産をそのままの形で分ける方法です。手続きは簡単ですが、不動産の価値が大きいと公平に分けにくいのが難点です。土地を分筆(一つの土地を二つ以上に分けて登記すること)して分ける方法もありますが、測量費がかかり、形によっては価値が下がります。
代償分割|一人が取得し、ほかの相続人にお金を払う
実家を継ぐ人が不動産を取得し、ほかの相続人に代償金を支払う方法です。家を残したまま公平に分けられる一方、取得する人に代償金を払えるだけの資金が必要です。協議書には、代償金の額と支払期限、支払方法を必ず書いておきます。
換価分割|売って現金で分ける
不動産を売り、売却代金から費用を差し引いた残りを分ける方法です。1円単位で公平に分けられ、誰も住む予定がない実家に向いています。ただし、手放すことに反対する相続人がいると進みません。
共有分割|持ち分で共有する
法定相続分(民法で決まった相続人ごとの取り分の割合)などの割合で、相続人全員の共有名義にする方法です。手軽ですが、後で述べるとおり注意が必要です。

図1 4つの方法のちがい(どの方法でも相続人全員の合意と遺産分割協議書が必要)
代償金は「不動産をいくらとみるか」で決まる
代償分割で最ももめやすいのが、不動産の評価額です。物差しは主に3つあります。
① 固定資産税評価額:毎年の納税通知書に載っている額。周南市の不動産なら周南市から届く課税明細書で確認でき、宅地は公示価格(国が毎年公表する標準的な土地の価格)の7割程度が一般的な目安
② 路線価:国税庁が毎年7月に公表する、相続税の計算に使う土地の価格。公示価格の8割程度が目安
③ 実勢価格:実際に売れると見込まれる価格。不動産会社の査定や近隣の成約事例から見積もる
どれを使うかに法律上の決まりはなく、全員が納得すればどれでもかまいませんが、実家を取得する人は低い評価を、代償金を受け取る人は高い評価を望みがちです。不動産会社の査定を取り、実勢価格を共通の土台にすると話し合いが進みやすくなります。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|ここが大事 評価の物差しを先に全員でそろえておくと、代償金の話し合いが進みやすくなります。査定の根拠は書面で受け取り、相続人全員で共有しましょう。 |
計算例|評価の違いで代償金はいくら変わるか
兄弟2人が、周南市内の実家と預金600万円を相続したとします。法定相続分は2分の1ずつで、兄が実家を取得し、弟が預金と代償金を受け取ります。この例では、評価の物差しの違いで代償金が300万円変わります(下の計算)。
実家の査定額が2,000万円の場合、遺産の合計は2,600万円で、1人分は1,300万円です。兄は、実家2,000万円のうち1人分の1,300万円を超える分(700万円)を代償金として弟に支払います。弟は預金600万円と代償金700万円で1,300万円、兄も2,000万円-700万円=1,300万円となり、釣り合います。
一方、固定資産税評価額の1,400万円で計算すると、遺産の合計は2,000万円、1人分は1,000万円となり、代償金は400万円です。物差しを変えただけで、代償金に300万円の差が出ます。

図2 物差しを変えただけで、代償金に300万円の差が出る(説明用の計算例)
代償分割・換価分割の税金の注意点
代償金を現金で払う場合、払った人に所得税はかかりません。ただし、代償金の代わりに自分がもともと持っていた土地などを渡すと、その時の時価で売ったものとされ、渡した人に譲渡所得(売って得た利益)の税金がかかります。また、払った代償金は、将来その不動産を売るときの取得費(売るときの税金の計算で差し引ける、買ったときの値段など)に含められません。そのぶん利益が大きく計算され、将来売るときの税金が増えやすくなります。
換価分割で売却益が出た場合の税金は、代金を受け取った相続人がそれぞれの取得割合に応じて負担し、各自で確定申告をします。割合が決まらないまま申告期限を迎えると法定相続分で申告することになり、後からやり直せないため、売る前に決めておくのが基本です。
| 東徳によくあるご相談 親の実家を兄弟で相続したものの、誰かが住み続けるか、売って分けるかで迷っている、というご相談があります。無料の査定で売れそうな価格の目安を根拠とともに書面でお伝えし、相続人の皆さまが同じ数字を土台に話し合えるようにしています。税金や協議書・登記は、提携する税理士・司法書士をご紹介できます(ご紹介は無料)。 ▶ お問い合わせフォームはこちら |
共有分割が後のトラブルになりやすい理由
共有は、相続した時点では公平に見えます。しかし、売る、建て替えるといった判断には共有者全員の同意が必要です。共有者が亡くなるとその家族が新たな共有者となり、合意はさらに難しくなります。将来売る可能性がある不動産は、代償分割か換価分割を検討するのが無難です。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|よくある勘違い 共有にしておけば公平で安心、とは限りません。共有者が増える前に、誰が取得するかを決めておくのが近道です。 |
遺産分割協議書の作り方の要点
① 相続人全員が署名し、実印を押して印鑑登録証明書を添える
② 不動産は登記事項証明書(法務局で取れる登記簿の写し)のとおりに所在・地番・家屋番号などを書く
③ 代償分割なら、代償金の額・支払期限・支払方法を書く
④ 換価分割なら、売却の代表者、代金を分ける割合、費用の負担を書く
⑤ 後から見つかった遺産の扱いも決めておく
書き方に不安があれば、司法書士や弁護士に作成を依頼すると安心です。

イメージ:協議書の準備に使う書類と実家の鍵(実際の物件・書類ではありません)
話し合いがまとまらないとき
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停(裁判所で調停委員を交えて話し合う手続き)を申し立てられます。申立先は相手方のうち一人の住所地の家庭裁判所などで、費用は被相続人(亡くなった方)1人につき収入印紙1,200円分と郵便切手です。周南市に住む相続人が相手方であれば、徳山駅から歩いて行ける山口家庭裁判所周南支部が窓口になるのが一般的です。不成立なら自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決めます。

図3 協議・調停・審判の流れ(周南市に住む相続人が相手方なら、山口家庭裁判所周南支部が窓口になるのが一般的)
また、2023年4月施行の改正民法により、相続開始から10年を過ぎると、生前贈与を受けた分(特別受益)や介護などで貢献した分(寄与分)を考慮した分け方を、原則として主張できなくなりました(民法904条の3)。10年経過後は、基本的に法定相続分で分けることになります。2023年4月より前に始まった相続でも、少なくとも2028年3月31日までは特別受益や寄与分を主張できます。
相続登記の期限との関係
相続登記は、不動産を相続したことを知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。2024年4月より前の相続も、2027年3月31日までに登記が必要です。話し合いが間に合わない場合は「相続人申告登記」(自分が相続人であることを法務局に申し出る簡単な手続き)で義務を果たせますが、その後に遺産分割が成立したら、成立日から3年以内に分割の内容に沿った登記が必要です。周南市の不動産は、山口地方法務局周南支局が窓口です。
![]() トウト君 | トウト君のひとこと|次にすること 話し合いが長引きそうなときは、登記の期限に間に合うよう、先に相続人申告登記で義務を果たす方法も考えておきましょう。 |
よくある質問
代償金を一括で払えない場合はどうすればよいですか?
全員が納得すれば分割払いにもできます。協議書に毎回の支払額と期日、滞ったときの扱いを書いておきましょう。
売るかどうか決まっていない段階で、査定を頼んでもよいですか?
問題ありません。代償金を決めるにも、売って分ける場合の手取りを見込むにも、売れそうな価格を知ることが出発点です。分け方の話し合いを始める前、評価の物差しを決める段階で取っておくと、その後の話を進めやすくなります。査定を頼むときは、ほかの相続人にも前もって伝えておくと、結果を受け入れてもらいやすくなります。
あわせて読みたい関連記事
・相続登記の義務化から2年|まだ間に合う?周南市の手続きガイド
・周南市の家はいくらで売れる?相場・売却相場の調べ方とプロの見立て
![]() | ご相談は東徳へ 相続した不動産の分け方のご相談は、地元70年の東徳不動産商事へ 代償分割でも換価分割でも、話し合いの土台になるのは「実家がいくらで売れそうか」という数字です。私たちは周南市の取引事情をふまえて無料で査定し、根拠を書いた査定書を相続人の皆さまで共有できる形でお渡しします。税金は提携する税理士を、協議書や登記は提携する司法書士・弁護士をご紹介できます(ご紹介は無料)。当社とグループ会社にはファイナンシャルプランナーが在籍し、代償金の資金計画なども連携して対応します。売るかどうか決まっていない段階でもお気軽にご相談ください。 トウト君のひとこと|実家がいくらくらいになりそうかを知って、相続人の皆さまの話し合いの土台にしましょう。 |
▶ お電話でのご相談:0834-21-0225(営業時間 9:30〜17:30/定休日 水・日・祝)
参考資料
・法務省 不動産を相続した方へ~相続登記・遺産分割を進めましょう~:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html
・総務省 固定資産税の概要:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html
・国税庁タックスアンサー No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4173.htm
・国税庁 所得税基本通達38-7(代償分割に係る資産の取得費):https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/18.htm
・国税庁 質疑応答事例「未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等」:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/09/01.htm
・裁判所 遺産分割調停:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
・山口地方・家庭裁判所 周南支部の所在地:https://www.courts.go.jp/yamaguchi/about/syozai/syunansibu/index.html
・法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
